俵万智のNHK短歌 7月の放送です!
大河ドラマ「光る君へ」とのコラボ!
第四回は、矢部太郎(やべたろう)さんがゲストです。
「光る君へ」では、乙丸を演じている矢部太郎さん。
俵万智さんと矢部太郎さん、そして、司会のヒコロヒーさんはどんな会話を繰り広げてくれるのでしょうか。
7月 NHK短歌「旅」俵万智が選んだ入選歌は?
7月は「旅の歌、歌の旅」というテーマです。
投稿された歌の中から、特に俵万智さんが良いと思った歌をご紹介します。
それでは、俵万智さんが選んだ歌をご紹介します。
神奈川県相模原市 髙田祥聖
兵庫県神戸市 澤美菜子
俵万智解説:「耳かき」「こそこそ」という音が響き合ってていい。矢部さんは、「国内や海外の旅先で、歯ブラシ集めてる。」というエピソードを披露してくれました。
神奈川県横浜市 久藤さえ
「旅」といっても、旅行や人生の旅立ちなど、様々な視点があることを、今回も勉強できました。
入選歌は、どれも素敵な歌ばかりですね。
7月 NHK短歌 「光る君へ」で短歌を10倍楽しもう 「かきくもり夕立つ波の荒ければ浮きたる船ぞしづ心なき」(紫式部)
今回、俵万智さんが「光る君へ」から選んだ歌は、紫式部の歌です。
(万智訳)曇る空、夕立に波荒くなり不安に揺れる船も心も
この歌では、大きな船に揺られる心細さと自分の心細さを表現していますね。実際の風景を描きながら、また、心象風景を表している歌。素敵ですね。
矢部太郎さんが書いたこのイラストが、この歌の様子をとてもよく表していますね。
実際の「光る君へ」の撮影では、当時の船で琵琶湖の真ん中まで行って行われたとのこと。
だから、より一層このシーンにはリアリティがあったのですね。
「光る君へ」の撮影の間に、実際に、越前にいったという、矢部さん。
当時のことを思いながら、乙丸のことを思いながら、越前(福井)に行った時、より
「遠くへきたな」
と感じたそうです。
俵万智さんは、子どもの頃、大阪から福井に引っ越し、中学・高校と福井県に住んだ経験があります。それまで自分が住んでいたのとは、違う場所、違う環境、違う言葉。
そこで、俵万智さん自身、感じることがたくさんありました。
紫式部と同じ環境に、俵万智さんは紫式部に親近感をとても抱いている、と話してくれました。
都から越前に移り住んだまひろも、きっと多くの違いに驚き、違うからこそ、今までの当たり前に気づくこともあったのかもしれません。
その時の経験が、のちに、まひろが紡いでいく物語に繋がっていくのかもしれませんね。
7月 NHK短歌 「光る君へ」とコラボ!短歌づくりポイントは?
今月も、俵万智さんが、短歌づくりのポイントを二つ教えてくれました!
ひとつ目は。
たくさんの情報を盛り込んでも、読み手に伝わるわけではないんですね。
つい、足し算で詰め込みがちですね。
引き算は、短歌でとても大事だと、俵万智さんは語ります。
余白を残して、手渡す勇気があるかどうか、が大事なんです。
省略することで読み手が想像することができる、ということなんですね。
短歌づくりのポイントの二つ目は。
平安時代は、今と違って、旅が難しい時代でした。
そんな平安時代に、和歌の世界では、「歌枕」が発達します。
「歌枕」というのは、和歌によく使われている名所のことを指します。
有名な歌を通して、自分は行けないけれど、その場所を想像し、自分の歌に詠むことで、その地名を育てていくという文化なんです。
名所に「歌枕」という役割を与えていることが、
・その名所には簡単に行けないけど、行きたいと思っている人は多くいる
・その名所が特別な場所である
・行きたいけど、行けない、からこそ、想像が膨らむ
ということを表しているように私はおもいます。
平安時代と現代の「旅」に対する感覚の違いも、表してくれているように私は思いました。
歌枕は、みんなで地名を豊かに歌で育てていく文化
と俵万智さんは言いましたが、本当にその通りですね。
空想ではあるけれど、旅の輪郭をイメージしていく文化なんですね。
歌枕の有名な歌として、俵万智さんが紹介してくれたのはこちらです。
都から外にでるときの関所、逢坂の関。
「逢」うというのが、男女があう、ということにも通じますね。「逢」によって、恋愛の雰囲気も感じさせてくれる歌枕ですね。
実際に、行かなくてもその土地を詠む。
ということに、俵万智さんは最初、「想像で詠むなんて、実感が伴わない。」と否定的な感覚を持っていたそうです。
しかし、行けないからこそ妄想する、という心の飛ばし方は、私たちに欠けていることを教えてくれる、と言います。
今は、簡単にどこへでも旅に行くことができます。自分で体験することが、とても評価されている時代のようにも思います。でも、そんな現代でも行けない場所はありますね。
歌枕の文化を感じながら、想像力を膨らませて歌を詠んでみたいと私は思いました。
7月 NHK短歌 「光る君へ」とコラボ!ゲストは矢部太郎!乙丸!
ゲストは矢部太郎さん。
俵万智さんは、乙丸は矢部さんの人柄に近いと感じています。
哀愁のある誠実さが、乙丸を深みのある人間像にしている、と。
私も同感です!矢部太郎さんの他に乙丸を演じることはできないだろう、とも思います。
矢部太郎さんが、自身の著書の中で短歌を披露しています。
布のぬくもり、部屋のぬくもり、母のぬくもりを感じる、とても温かい歌ですね。
矢部太郎はたくさんのイラストを描いていますが、イラストを描く時のポイントは「引き算」だそうです。
なるべく書きたくない。引き算したい。書かない方が、より想像の余地がある。見る方にたくさん受け取ってもらえそう。
と矢部太郎さんは語っていました。
確かに矢部太郎さんのイラストは、細部は描いていないけど、伝わってくるものがあるんですよね。
誰にでも描けそうで、誰も描けない。そんな唯一無二のイラストを描いているのです。
私も大好きなイラストレーターのひとりです。
最後に司会のヒコロヒーさんが、矢部太郎さんに提案をしていました。
イラストに短歌をのせてみては?
そんな作品集が発売されるのを楽しみにしています。
7月 NHK短歌 「光る君へ」とコラボ! 放送日は?再放送は?
放送日:7月14日 日曜日
放送時間:午前6:00~6:25
放送局:NHK Eテレ
再放送:7月18日木曜日
再放送時間:午後2:10~2:35
また、放送後一週間は、NHKプラスで見逃し配信が楽しめます。
アカウントを取得することで、無料でNHKの番組を楽しめますよ。
7月 NHK短歌 「光る君へ」とコラボ!「旅」まとめ
・放送日は7月14日日曜日
・ゲストは矢部太郎さん(乙丸役)
・作歌のポイントは、「引き算」と「歌枕」
・今回引用した歌は「かきくもり夕立つ波の荒ければ浮きたる船ぞいづ心なき」
「光る君へ」とコラボしている俵万智さんのNHK短歌。放送内容はこちらでまとめています。
合わせてご覧くださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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