歌人の俵万智さんといえば「サラダ記念日」ですね。
2023年2月27日には、NHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」で「平凡な日常は、油断ならない~歌人・俵万智」が放送されました。
俵万智さんの代表作やおすすめの歌、俵万智さんはどんな人なのか、などについてご紹介します。
最後までお読みくださいね。
俵万智の短歌の代表作とおすすめはどれ?「寒いね」から始まる短歌は?
俵万智さんは多くの歌を詠んでいますね。
その中から代表作といえるおすすめの短歌をいくつかご紹介しましょう。
この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日(「サラダ記念日」より)
この歌は誰もが知っている有名な歌ですね。
サラダを褒めてもらった嬉しさがとても伝わりますね。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ (「サラダ記念日」より)
日常の何気ない会話のやりとり。あなたがいてくれるだけであたたかい。
そんな温度が伝わる歌です。
明治屋に初めて二人で行きし日の苺のジャムの一瓶終わる(「チョコレート革命」より)
初めて明治屋に二人で行ってからの時間の経過と、楽しく買い物をした時間がジャムを食べ終わることで終わってしまったような切なさを感じます。
やがてくる命を待てば逆光に輝きを増す隅田川見ゆ(「プーさんの鼻」より)
赤ちゃんが生まれてくるのを待ち遠しく思う万智さんの気持ちが伝わります。
制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている(「未来のサイズ」より)
体が成長することを見越して制服は大きめに作るもの。だぶだぶの制服を着ている子どもたちがこれからたくさんのことを吸収して「大きく」なっていくキラキラした歌ですね。
バンザイの姿勢で眠りいる吾子よそうだバンザイ生まれてバンザイ(「生まれてバンザイ」より)
バンザイの姿勢で眠る赤ちゃん。生まれてバンザイ!バンザイ!
俵万智の短歌の代表作(歌集)は?
俵万智さんはたくさんの歌集を出版しています。
短歌だけのもの、エッセイと短歌によるもの、など、さまざまな形があります。
その中から代表的なものをご紹介しましょう。
第一歌集「サラダ記念日」 1987年 河出書房新社
口語体で読まれた短歌は、親しみやすく、様々な年代の人に短歌を身近なものへと変化させました。
第二歌集「かぜのてのひら」 1991年 河出書房新社
自然の風景、季節感を感じさせる歌集です。
第三歌集「チョコレート革命」 1997年 河出書房新社
大人の恋愛を描いた歌の数々です。
第四歌集「プーさんの鼻」 2005年 文藝春秋
お子さんについての歌集です。母親としての目線が温かく染みわたります。
第五歌集「オレがマリオ」 2013年 文藝春秋
東日本大震災の頃の作品。大地震の影響。小さい息子さんと石垣島へ移り住み、そこでの新しい生活。大地震の経験を生きる万智さんが描き出します。
第六歌集「未来のサイズ」 2020年 角川文化振興財団
息子や石垣島、宮崎での生活で読まれた万智さんならではの視点で詠まれた歌の数々。
2010年 たんぽぽの日々:俵万智の子育て歌集 小学館
子育てをテーマにした短歌とエッセイ集。子育て真っ最中の万智さんが等身大の母の視点で詠みました。
2021年 「花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ」KADOKAWA
二十四節気に合わせ、花の写真に短歌とエッセイを添えています
30年以上、歌人として活躍している俵万智さん。その時の万智さんを歌に閉じ込め、歌集になりました。万智さんの人生をそのまま映しているようで、歌を読むと、その時の万智さんが少しわかるような気がします。
俵万智はどんな人?
それでは俵万智さんのプロフィールからご紹介します。
本名:同じ
生年月日:1962年12月31日
出身地:大阪府北河内郡門真町(現 門真市)生まれ
四条畷市(しじょうなわてし)、福井県武生市(現 越前市)で育つ
出身大学:早稲田大学第一文学部
職歴:神奈川県立橋本高等学校 国語教師
その他:結社「心の花」所属(大学在学中に、結社主宰であり教授の佐佐木幸綱に師事)
父は希土類磁石研究者 俵好夫
高校時代は演劇部に所属、大学時代にはアナウンス研究会に所属していました。(同期にはフジテレビアナウンサーの軽部真一さんがいます)
1989年には4年間務めた橋本高校を退職、歌人としての道を歩き始めます。
2003年には男児を出産、人工授精で出産したことで世間の話題を集めましたね。
2006年にはご両親の住む宮城県仙台市に移り住みますが、2011年に東日本大震災で被災したことを受けて、小さい息子と石垣島に移住します。
2013年には宮崎県に移住、息子さんは全寮制の学校に進学しました。
2022年9月には万智さんはご両親の近くに住んで介護をするため、再び宮城県仙台市へ。
俵万智の短歌の特徴とは?徹底解明しました!
俵万智さんは、デビュー当初、「批判精神が足りない」などど言われたそうです。短歌は、ネガティブな感情表現を歌に込めることが多くありますが、万智さんの歌にはその部分が少ない、と、そのような批判を受けたと思われます。
ですが、万智さんはもともとが「肯定型」の思考を持っています。新しい人に会うときも、自らの基準はもたず、まっさらの状態から積み上げていく、という加点方式を採用しているそうです。
作歌に対しても、全肯定でやりたい!という気持ちが強く、歌にもそれが表れています。
失恋の歌を詠むときも、悲しい、寂しいだけではなく、そこから得られる新たな発見の喜びを伝えたい、と語っています。
また、短歌の伝統をしっかりと守りながら、口語体や話し言葉、会話の中に出てくる現代の固有名詞などを織り交ぜることで、誰にでもわかりやすい、歌になっています。
短歌を知らない人でも、「サラダ記念日」なら知っている、という人は多いのではないでしょうか。
読み進めるうちに、「私も短歌作ってみたい」と思ってしまうほど、それはナチュラルに体に受け入れられます。
実は、それこそが、俵万智さんの功績のひとつなのではないか、と私は思います。
和歌の時代、それは雅な遊びであり、教養でした。短歌の世界もどこか特別で、素人を寄せ付けない雰囲気がありました。
万智さんは、短歌の世界が特別ではなく、誰でも気軽に訪問することのできる場所であることを示してくれました。胸の内を31文字で表現するということ。限られた文字数だからこそ、表現できることがある、それが短歌の魅力だと私は思います。
俵万智の名言10選!
・努力できるということも、実力のうち
・蛇行する川には、蛇行の理由あり 急げばいいって もんじゃないよと
・「愛は勝つ」という青年。愛と愛が戦うときにはどうなるのだろう。
・さまざまな偶然を、「必然」に変えていくのは、自分しかいない。
・「今いちばん行きたいところを言ってごらん」行きたいのはあなたのところ。
・「寒いね」と話しかければ、「寒いね」と答える人のいるあたたかさ。
・表現する手段さえ持てれば、悲しいこともプラスにできる
・まっさきに気がついている君からの手紙いちばん最後にあける
・優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる。
・何層もあなたの愛に包まれてアップルパイのりんごになろう。
万智さんの恋愛の言葉は、とっても潤いがあって、ドキッとしますね。
俵万智の短歌の特徴と歌集や名言についてのまとめ
俵万智さんのまとめです。
- 口語体で親しみやすい短歌
- 「サラダ記念日」はあまりにも有名
- 歌集、エッセイなど多数執筆
- 居住地:仙台、石垣島、宮崎、そして、2022年仙台へ
歌を愛し、歌に愛されたひと、俵万智さん。
31文字で表現される日常に共感される人も多いのではないでしょうか。
今後も注目しつづけたい歌人のひとりです。
本文中でご紹介しました俵万智さんの息子さんは、お名前やお顔を公けにはされていませんが、2023年2月27日放送のNHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」では、俵万智さんと息子さんがお誕生日をお祝いするシーンがありました。
俵万智さん息子さんについては、こちらの記事でもご紹介しています。
合わせてお読みくださいね。
俵万智さんの恩師、佐佐木幸綱さんの代表作はこちらでご紹介しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう!
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