短歌と俳句の違いをご存じですか?
2022年のNHK朝の連続テレビ小説「舞い上がれ」で短歌が取り上げられたこともあり、ツイッターなどでは、短歌がにわかにブームになっています。
多くの方は、中学校や高校の授業で、短歌や俳句を勉強したはず。
でも、5・7・5・7・7は短歌だっけ?俳句だっけ?
と混乱している人も多いのではないでしょうか。
今回は、短歌と俳句の違いについて、そして、それらのルーツになっている和歌についても、丁寧にわかりやすくご紹介します。
最後までお読みいただけたら嬉しいです。
短歌と俳句の違い:和歌とは?ルール、季語、数え方について
和歌とは、日本古来の詩歌を指します。
中国の漢詩に対して、日本の詩歌のことを和歌というのですね。
和歌には短歌、長歌、旋頭歌などの種類があります。
以下で簡単に説明しましょう。
長歌(ちょうか)
5音(かなで5文字)と7音(かなで7文字)を繰り返します。
57、57、57、を3回以上繰り返し、最後が7音で終わります。
短歌(たんか)
57577の31文字です。
一番詠まれている形式です。
旋頭歌(せどうか)
577、577の形式。
奈良時代や平安時代、鎌倉時代には、和歌は貴族や武士にとってのたしなみのひとつでした。
自分の気持ちを伝える手段として和歌が盛んに詠まれていたのですね。
和歌では季語は使われませんが、序詞や掛詞、本歌取りなどの修辞法といわれる技法が使われます。
短歌と俳句の違い:短歌とは?ルール、季語、数え方について
短歌は、もともとは和歌の中のひとつの形式でした。
和歌の他の種類である長歌などは時代とともに詠まれなくなり、次第に、和歌=短歌というようになります。
短歌での決まり事はただひとつ。
5・7・5・7・7の31文字であること。
季語は必要ありません。
575を上の句、77を下の句といいます。
数え方は、一首(いっしゅ)、二首(にしゅ)です。
俳句と違い、恋の歌が多いのも特徴ですね。
それは、短歌の歴史と関係があります。
短歌を含む和歌は、平安時代には貴族のたしなみのひとつであり、歌会などが頻繁に行われました。
貴族たちは、短歌に自分の気持ちや思いをのせて、恋する人に伝えていたのです。
歌を贈りあうなんて、とても優雅でステキですね。
明治時代初期には、和歌改革が起こり、それまで好まれていた雅な趣向は批判されるようになります。
この頃から、より素朴で人々の暮らしを表すような歌が詠まれるようになりました。
短歌と俳句の違い:短歌の代表作は?
春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
持統天皇
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
俵万智
この歌はあまりに有名ですね。
短歌と俳句の違い:俳句とは?ルール、季語、数え方について
俳句は連歌、俳諧から生まれました。
連歌は575の発句 77の脇句からなり、交互に複数人で連ねて歌う遊びで、奈良時代に連歌の原型ができていたといわれてます。
俳句は、連歌の発句(575)を基礎にしています。
また、季語が必ず用いられます。
数え方は、一句(いっく)、二句(にく)。
江戸時代になると、俳諧連歌に雅な言葉だけでなく、俗語も使われるようになり、商人だけでなく町人のあいだでも大変なブームになりました。
そして、明治時代には入ると「俳句」という言葉が一般的に使われるようになりました。
俳句は季節や自然を題材にしたものが中心で恋をテーマにしたものはあまり詠まれません。
江戸時代に入るまで俳諧は和歌や連歌の余興で、遊びとして作られる格下のものとみなされていました。
松尾芭蕉がその概念を変えました。
「洒落やおどけだけが俳諧ではない。」
と、真面目な俳諧を目指して創作活動を続けました。
それは、正岡子規へと受け継いがれていったのです。
現代もまた、テレビ番組で取り扱われるなど、俳句がブームになっていますね。
短歌と俳句の違い:俳句
柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺
正岡子規
夏草や 兵どもが 夢の跡
松尾芭蕉
短歌と俳句の違い:まとめ
短歌と俳句の違いについてご紹介しました。
- 和歌:長歌、短歌、など数種類ある。季語は不要。
- 短歌:57577 季語は不要
- 俳句:575 季語は必要
最後までお読みいただきありがとうございました。
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