【雪の俳句有名俳人20選】雪の季語は冬だけではない!

短歌・俳句

雪の有名な俳句を知りたい!

雪を使った季語を知りたい!

 

名だたる俳人の多くが詠んでいる「雪の句」。同じ題材でも作者によって句は形を変えていきます。

 

普段聞き慣れないものや難しいものも多い季語ですが、実は雪を使った季語は冬だけではないということを皆さんはご存じでしょうか。初春や晩秋だけでなく夏の句にも雪を使った季語は存在します。

 

なので今回は、雪にまつわる有名な俳句を20句、そして雪を使った季語をご紹介します。

 

【雪の俳句】有名俳人20選

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いざ行かん 雪見にころぶ 所まで
俳人名:松尾芭蕉
季語:雪見
読み方:いざいかん ゆきみにころぶ ところまで
意味:さあ、行こう。雪見で転ぶような所へと。
感想:花見と同じように雪を見て楽しむ「雪見」を用いた句。雪見を楽しみにしている事が窺えます。
馬をさえ ながむる雪の 朝哉
俳人名:松尾芭蕉
季語:
読み方:うまをさえ ながむるゆきの あしたかな
意味:馬から降り、雪を眺めて、明日はどうなるかと考える。
感想:馬から降りた描写がポイント。1度立ち止まって雪を眺めている様子が伝わってきます。
大雪と 成けり関の 戸ざしごろ
俳人名:与謝蕪村
季語:大雪
読み方:おおゆきと なりけりせきの とざしごろ
意味:大雪になってきて、関の戸を閉める頃合いだろう。
感想:大雪で交通がストップするのは今も昔も変わらないものなんですね。
これがまあ 終の栖か 雪五尺
俳人名:小林一茶
季語:
読み方:これがまあ ついのすみかか ゆきごしゃく
意味:雪が5尺も積もっているようなこんなところが、私の最後の時を過ごす場なのか。
感想:自然主義的な一茶には珍しく、私情が入った句。故郷での嫌な思い出が最後に残ってしまっていたのだろうか。
雪とけて 村いっぱいの 子ども哉 
俳人名:小林一茶
季語:雪とけて
読み方:ゆきとけて むらいっぱいの こどもかな
意味:雪が解け、村中の子どもたちが外に出てきた。
感想:雪が入っていますが、春の句。暖かくなってきて、元気にはしゃぐ子どもたちが浮かび上がります。
うまさうな 雪がふうはり ふわりかな
俳人名:小林一茶
季語:
読み方:うまそうな ゆきがふうあり ふわりかな
意味:おいしそうな雪がふうわりふわりと降ってきている。
感想:この句は日本語の表現がいいですよね。雪がおいしそうに見えるほどお腹が空いていたのでしょうね。
逢ふ人の 皆大雪と 申しけり
俳人名:正岡子規
季語:大雪
読み方:あうひとの みなおおゆきと もうしけり
意味:会う人々が皆大雪だと言っている。
感想:すれ違う人々に今から向かう方の様子を聞いていたのでしょうか。まだ事件は起きていないが、これから起きそうな気がしてくる句です。
うごめくに 雪降り積むや 蟹の甲
俳人名:水原秋櫻子(みずはらしゅうおうし)
季語:
読み方:うごめくに ゆきふりつむや かにのこう
意味:雪が降り積もっている蟹の甲が動いている。
感想:市場か、海岸線を歩いていたのでしょうか。雪が降る中うごめく何かを見たときは、俳句を作らずにはいられなかったのでしょうね。
橿鳥の こぼす粉雪の 光り舞ふ
俳人名:水原秋櫻子(みずはらしゅうおうし)
季語:粉雪
読み方:かしどりの こぼすこゆきの ひかりまう
意味:カケスが身体から振り払った雪が光当たって舞っている。
感想:光が差しているということは、この時は晴れていたのでしょう。雪が積もった後は人も動物も雪かきをしなければなりませんね。
牡丹雪 ジルベスターの 夜をこめて
俳人名:山口青邨(やまぐちせいそん)
季語:牡丹雪
読み方:ぼたんゆき じるべすたーの よをこめて
意味:大粒の雪が降る大晦日の夜に願いを込めている。
感想:ジルベスターとはドイツ語で大晦日。牡丹のように大きな雪が降っている中、正月に思いを馳せている事が伝わってきます。
マフラーの 新雪のごと 肩にゆたか
俳人名:山口青邨(やまぐちせいそん)
季語:新雪
読み方:まふらーの しんせつのごと かたにゆたか
意味:肩に積もった新雪がマフラーのようになっている。
感想:正岡子規らからさらに下の世代の俳人山口青邨の現代的な句。最後が字余りになっているのも、古い世代にはあまりない特徴ですよね。
降る雪や 玉のごとくに ランプ拭く
俳人名:飯田蛇笏(いいだだこつ)
季語:
読み方:ふるゆきや たまのごとくに らんぷふく
意味:外では雪が降っている。今のうちにランプを玉のようピカピカになるまで磨く。
感想:部屋の中でランプを拭くことで、間接的に外の寒さが伝わってきますね。
雲のまに 新雪きそふ 嶺三つ
俳人名:飯田蛇笏(いいだだこつ)
季語:新雪
読み方:くものまに しんせつきそう みねみっつ
意味:雲の間から高い山の嶺が3つ見え、新雪を競っているように思える。
感想:雲が切れて大きな山が3つ見えてくる景色は、さぞ美しかったのだろうなと思います。
風雪に たわむアンテナの 声を聴く
俳人名:山口誓子(やまぐちせいし)
季語:風雪
読み方:ふうせつに たわむあんてなの こえをきく
意味:風雪でたわむアンテナの音が聞こえる
感想:アンテナが擬人化された句。外に晒されたアンテナに、何を感じていたのでしょうか。
雪の岳 空を真青き 玻璃とする
俳人名:水原秋櫻子(みずはらしゅうおうし)
季語:
読み方:ゆきのたけ そらをまあおき はりとする
意味:雪が積もった山は、対比で空をガラスの水晶ような美しい青に見せている。
感想:空気が澄んでいて、綺麗な景色が思い浮かびます。言葉の順序によって、最終的に雪の白さも際立つ美しい句ですね。
降る雪に 太陽光の 通路あり
俳人名:山口誓子(やまぐちせいし)
季語:
読み方:ふるゆきに たいようこうの つうろあり
意味:雪雲の切れ目に太陽が差していて、雪が照らされ通路のように見える。
感想:雪と太陽を同じ画角に収めた句。色や温度の対比が美しいですね。
雪の夜の 紅茶の色を 愛しけり
俳人名:日野草城(ひのそうじょう)
季語:
読み方:ゆきのよの こうちゃのいろを あいしけり
意味:雪の降る寒い夜に、温かい紅茶の色を見て愛らしく感じている。
感想:紅茶の熱や味ではなく、色に温かみを加えています。最後の愛しけりも、それほど外が寒かったのだと、よく伝わってきます。
深雪晴 たばこのけむり 濃むらさき
俳人名:日野草城(ひのそうじょう)
季語:深雪晴
読み方:みゆきばれ たばこのけむり こむらさき
意味:よく降った雪がようやく晴れ、煙草の煙が綺麗な濃い紫色をしている。
感想:雪が止んだ後にタバコを吸っているというシンプルな句。だからこそ空の青と煙の紫がよく見えます。
てのひらに 熱き火桶や 雪景色
俳人名:日野草城(ひのそうじょう)
季語:雪景色
読み方:てのひらに あつきひおけや ゆきげしき
意味:火桶に手をかざして温まっている。対して外は雪景色である。
感想:熱きということは、家に帰って来たばかりで、急いで火を着けて温度を上げたのでしょうか。現代でも寒い日に家に帰ってから暖房を高めに設定して早く温まろうとするので、それと同じようなものなのでしょうか。
おうおうと いへど敲くや 雪の門
俳人名:向井去来(むかいきょらい)
季語:
読み方:おうおうと いえどたたくや ゆきのもん
意味:おうおうと返事をしたが、誰かは雪が降っている中、門を叩き続けている。
感想:雪が降る中、門を叩く人と中で返事をする人が描かれています。2人の心情に表面的以上に差があるように感じられるのは、私だけでしょうか。



【雪の俳句】雪を使った季語

紹介した20句には以下の季語が出てきました。

雪、粉雪、雪景色、深雪晴、風雪、新雪、牡丹雪、雪見、大雪、雪とけて。

 

そのほかにも雪を使った季語は冬だけでなく、春夏秋冬毎にたくさんあり、例をいくつか紹介します。

 

雪を使った春の季語

 

斑雪嶺(はだれね)、泡雪(あわゆき)、たびら雪、春の雪、涅槃雪(ねはんゆき)、忘れ雪など…

 

雪を使った夏の季語

 

雪加(せっか)、富士雪(ふじゆきげ)、沫雪羹(あわゆきかん)、初雪草など…

 

雪を使った秋の季語

 

雪支度(ゆきじたく)、正雪蜻蛉(しょうせつとんぼ)、秋の初雪など…

 

雪を使った冬の季語

 

雪橇(そり)、雪意(せつい)、吹雪、初雪、雪空、雪雲、雪山、雪下駄、餅雪、雪鬼、雪国など…



まとめ

 

春や夏にも雪を使った季語が存在することにびっくりですね。

 

有名な俳人たちも、雪の美しさを句にすると、どれも似たような雰囲気になっているのは、本物の雪の美しい景色を表現するには17音だと足りないからなのかもしれませんね。



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