冬の季語【花】10選 有名な俳句に使われている花とは

短歌・俳句

花の句といえば春を思い浮かべますが、冬に美しく咲く花についての句もたくさんあります。

 

有名な俳人たちはどのような冬の花の句を詠んだのでしょうか。

 

この記事では、季語として存在する冬に咲く花10個にまつわる有名な句をそれぞれいくつかピックアップし、意味や読み方などを解説していきます。

 

冬の季語【花】石蕗の花(つわのはな) 俳句

咲くべくもおもはであるを石蕗の花
俳人名:与謝蕪村
読み方:さくべくも おもわであるを つわのはな
意味:咲くはずがないと思っていたら、ツワブキの花が綺麗に咲いているなあ。
感想:知らない内に突然綺麗な花が咲いていたら、現代の私たちも一瞬立ち止まって見入ってしまいますよね。
ことしもここに石蕗の花も私も
俳人名:種田山頭火(たねださんとうか)
読み方:ことしもここに つわのはなも わたしも
意味:今年もここにツワブキの花が咲いていて、それを今年も私が見ているなあ。
感想:575ではないが、同じ17音の美しい句です。毎年同じ美しさを味わうことが出来るのも、幸運なことなのかも知れませんね。



冬の季語【花】水仙 俳句

水仙や寒き都のここかしこ
俳人名:与謝蕪村
読み方:すいせんや さむきみやこの ここかしこ
意味:寒い京都に、水仙の花がたくさん咲いているなあ。
感想:京都に住んでいた人たちにとっては見慣れた水仙の花だったと思いますが、改めてその美しさを詠んだ句です。
鉢浅く水仙の根の氷りつく
俳人名:河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)
読み方:はちあさく すいせんのねの こおりつく
意味:鉢が浅く、水仙の根が寒さで凍ってしまっているなあ。
感想:見栄えが良かったであろう底の浅い鉢のせいで、植えている植物の根を凍らせてしまうという、皮肉が込められた句です。

冬の季語【花】シクラメン 俳句

性格が八百屋お七でシクラメン
俳人名:京極杞陽(きょうごくきよう)
読み方:せいかくが やおやおしちで しくらめん
意味:性格が八百屋お七のようだなあ、シクラメンは。
感想:歌舞伎などで有名な八百屋お七。恋仲の人に会うために放火をし、処刑されてしまうというものをシクラメンの鮮やかな赤色に例えたユニークな句です。
風の日は躁の色かなシクラメン
俳人名:飯田龍太(いいだりゅうた)
読み方:かぜのひは そうのいろかな しくらめん
意味:風が強い日は、より一層派手で騒がしい色に見えるなあ、シクラメンは。
感想:色鮮やかなシクラメンですが、風に吹かれるとより派手な色が目立ちますよね。

冬の季語【花】冬薔薇(ふゆばら、ふゆそうび) 俳句

冬薔薇一輪風に揉まれをり
俳人名:高浜虚子(たかはまきょし)
読み方:ふゆそうびいちりん かぜにもまれおり
意味:冬薔薇が一輪、風に揉まれているなあ。
感想:正岡子規と俳句仲間だった高浜虚子の句です。贈り物であろう一輪の冬薔薇が風に揉まれている様に、心を動かされたのでしょうか。



冬の季語【花】枇杷の花 俳句

本郷の学生寮の枇杷咲けり
俳人名:高澤良一
読み方:ほんごうの がくせいりょうの びわさけり
意味:東京大学本郷キャンパスの学生寮に、ビワの花が咲いているなあ。
感想:現代的な句です。東大は古くから存在している学校で、そこでずっと咲いているビワの美しさを感じますね。

冬の季語【花】柊の花 俳句

柊の花一本の香かな
俳人名:高野素十(たかのすじゅう)
読み方:ひいらぎの はないっぽんの かおりかな
意味:柊の花は一本だけでも、とても良い香りがするなあ。
感想:線香にもよく使われている柊は、一本だけでもいい香りがするのでしょうね。
柊の花のこぼれや四十雀
俳人名:浪化(ろうか)
読み方:ひいらぎの はなのこぼれや しじゅうから
意味:柊の花が散ったと思ったら、そこにシジュウカラがいるなあ。
感想:僧でもある俳人浪化の句です。シジュウカラという小さい鳥が止まったことで柊の花が散っていく様を詠んでいます。

冬の季語【花】寒木瓜(かんぼけ) 俳句

寒木瓜の赤さ褒貶定まらぬ
俳人名:石塚友二(いしづかともじ)
読み方:かんぼけの あかさほうへん さだまらぬ
意味:この寒木瓜の花の赤さは、褒めるか貶すか決まらないなあ。
感想:赤い花を付ける寒木瓜ですが、調べてみるとオレンジっぽかったり、白っぽいものもあるそうです。この句の寒木瓜は一体どんな色をしていたのか気になりますね。
一片の寒木瓜を吐き人逝きぬ
俳人名:久米正雄(くめまさお)
読み方:いっぺんの かんぼけをはき ひといきぬ
意味:ひとかけらのボケの実を食べると、すぐ吐き出して、そのまま死んでしまうだろうなあ。
感想:生のボケは美味しくないことを詠んだ句。毒はないため死ぬことはないですが、実際に食べて死ぬほど不味かったのでしょうね。



冬の季語【花】茶の花 俳句

茶の花のころがつてをる甃
俳人名:富安風生(とみやすふうせい)
読み方:ちゃのはなの ころがっておる いしだたみ
意味:茶の花が石畳に転がっているなあ。
感想:茶の花は丸いのが特徴で、冷たい石畳の上に転がっている茶の花は、まるでそこで咲いているかのように思えますね。
芭蕉忌や茶の花折つて奉る
俳人名:夏目漱石
読み方:ばしょうきや ちゃのはなおって たてまつる
意味:松尾芭蕉の忌日なので、生えていた茶の花を折って捧げましょう。
感想:小説家で有名な夏目漱石の詠んだ句です。松尾芭蕉に祈りを捧げて敬意を表しているのが、印象的な作品ですね。

冬の季語【花】早梅(そうばい) 俳句

photo by Redsugar

街中の公園にして梅早し
俳人名:高浜年尾(たかはまとしお)
読み方:まちなかの こうえんにして うめはやし
意味:街中の公園で、早くも梅が咲いているなあ。
感想:高浜虚子の実子の作品です。生活に根差した場所でも美しいものがあるとより映えて見えますね。

冬の季語【花】山茶花(さざんか) 俳句

photo by ELFA

山茶花は咲く花よりも散ってゐる
俳人名:細見綾子(ほそみあやこ)
読み方:さざんかは さくはなよりも ちっている
意味:山茶花は咲いている花よりも、散っている時の花の方が良い。
感想:花といえば咲いている状態を真っ先に思い浮かべますが、散りゆく花にも美しさはありますよね。



冬の季語【花】まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

冬は雪が降る寒い季節なので、俳句でも赤い花がより目立ちますね。

 

寒い季節でも美しい花はたくさん咲いていますので、この記事で気になったら近くの公園に花が咲いているか見に行くのもいいのではないでしょうか。

 

俳句は季語を用いることで季節がギュッと閉じ込められている感じがしますね。
夏の俳句はこちらの記事でご紹介しています。
合わせてお読みくださいね。

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