【夏の俳句30選】有名俳句と季語を紹介!

短歌・俳句

ギラギラと照り付ける太陽、青い空、白い入道雲。

夏の有名な俳句には、読んだだけで、熱い日差しを浴びたように感じるもの、また、日差しを避けるように涼やかになるもの、など、五感を刺激されるものが多くあります。

 

夏の季語と、有名な俳人による俳句30選をご紹介しています。

どうぞ最後までゆっくりご覧ください。

【夏の俳句30選】有名な俳句をご紹介!

俳句とは、5・7・5の17音で構成されています。

決まり事がひとつあり、かならず「季語」を入れて詠まれます。

詠む題材は、風景や、心情、心象風景などあらゆるものが対象となります。

俳人として有名な方はたくさんおられますが、今回はその中から

・松尾芭蕉

・高浜虚子

・与謝蕪村

・小林一茶

・正岡子規

の五名にスポットライトをあてて、彼らの俳句をご紹介します。


【夏の俳句30選】夏の俳句の季語とはどんなもの?

俳句をご紹介する前に、まずは「季語」についてご説明しましょう。

季語とは、季節ごとに決められた、その季節を表す単語です。

季節を表す単語なので、それほど難しくはありません。

ただし、季節の捉え方が、現代とは少し違いますので、そこが迷いがちなポイントですね。

 

季語には五つの分け方がありますので、ご紹介しますね。

春:立春(2月4日頃)~立夏(5月6日頃)の前日まで

夏:立夏(5月6日頃)~立秋(8月8日頃)の前日まで

秋:立秋(8月8日頃)~立冬(11月8日頃)の前日まで

冬:立冬(11月8日頃)~立春(2月4日頃)の前日まで

新年:正月(元日から15日頃まで)

 

夏の季語とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

みてみましょう。

夏、皐月(さつき)、入梅(にゅうばい)、涼し、風薫る、雹(ひょう)、サングラス、冷やし中華、麦酒(ビール)、虫刺され、ハンモック、冷蔵庫、髪洗う、鯉幟(こいのぼり)、夏場所(なつばしょ)、守宮(やもり)、雷鳥、翡翠(かわせみ)、青芝、麻、木苺、昼顔、青唐辛子

なるほど夏を表すものだ、と納得できるものが多いですね。

それでは、いよいよ、夏の俳句をご紹介しましょう。


【夏の俳句30選】有名な松尾芭蕉10例

松尾芭蕉(まつお ばしょう)の有名な俳句10選をご紹介します。

それぞれの句について

・読み方

・季語

・意味

・私の感想

をご紹介しています。

夏草や 兵どもが 夢の跡

  • 読み方:なつくさや つわものどもが ゆめのあと
  • 季語:夏草
  • 意味:夏草が覆っているこの地は、かつて、武士たちが栄華を求めた場所である。今となっては、それも遥か昔。まるで夢の中の出来事のようだ。
  • 感想:とても有名な句のひとつですね。かつて繁栄した土地も今となってはその面影もなく、ただ思いをはせるばかり。。。

 

五月雨を 集めてはやし 最上川

  • 読み方:さみだれを あつめてはやし もがみがわ
  • 季語:五月雨
  • 意味:降り続く五月雨によって、水かさが増し、勢いよく流れているよ、最上川は。
  • 感想:やまない雨によって増水した川の勢いがこわいくらいです。

 

閑さや 岩にしみ入る の声

  • 読み方:しずかさや いわにしみいる せみのこえ
  • 季語:蝉
  • 意味:深く静まり返っている。蝉の声も岩に染み入っていくようだ。
  • 感想:うるさいはずの蝉の鳴き声が、すぅーっと岩に吸い込まれていくような表現が興味深いです。芭蕉はなにかに集中しているのでしょうか。それとも、蝉の鳴き声しか聞こえない状況が心地よいBGMとなっているのでしょうか。

 

雲の峰 いくつ崩れて 月の山

  • 読み方:くものみね いくつくずれて つきのやま
  • 季語:雲の峰
  • 意味:もくもくとした雲は、崩れては盛り上がり、崩れては盛り上がり、を繰り返している。どれくらい繰り返して月の光に照らされた月山になったのだろう。
  • 感想:ふわふわした雲は、もはやふわふわではなく、いつしか神々しく猛々しい山へと変化していくかの様子に神秘を感じます。

 

あらたふと 青葉若葉の 日の光

  • 読み方:あらとうと あおばわかばの ひのひかり
  • 季語:青葉若葉
  • 意味:なんと尊いことでしょう。日光の地、太陽が青葉や若葉に注がれるようすは。
  • 感想:栃木県日光市といえば、華厳の滝や日光東照宮で有名ですね。その大自然に太陽の光が注がれ、木々や葉が青々と輝いているようすが目に浮かびます。

 

おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな

  • 読み方:おもしろうて やがてかなしき うぶねかな
  • 季語:鵜舟
  • 意味:鵜飼いというのは、なんと面白いものだろう。しかし、次第に悲しくもなってkるなぁ。
  • 感想:長良川で行われる鵜飼い。夜の暗い川で、いざり火を焚くようすは幻想的ですね。火の灯りに照らし出された鵜が、鵜匠によりただひたすらに鮎を飲み込んでいく鵜様子は、鵜に対しても、鮎に対しても、若干の残酷さを感じるのは私だけでしょうか。

 

象潟や 雨に西施が ねぶの花

  • 読み方:きさかたや あめにせいしが ねぶのはな
  • 季語:ねぶの花
  • 意味:象潟に雨が降っている。ねぶの花が雨に打たれて葉を閉じている様子は、絶世の美女といわれる西施が目を閉じている麗しい姿を思い起こさせる。
  • 補足解説①:象潟とは、秋田県由利本荘市鳥海山にあった入江のこと。
  • 補足解説②:西施とは、中国の春秋時代の絶世の美女
  • 補足解説③:ねぶの花とは、「合歓(ねむ)の花」のこと。夜間や雨の時には、葉を閉じて眠ったように見える。
  • 感想:ねぶの花の可憐な佇まいが、絶世の美女であり、病を得ていた西施の美しくも、どこか愁いを帯びていた姿を思い起こさせますね。

 

一枚 植えて立ち去る 柳かな

  • 読み方:たいちまい うえてたちさる やなぎかな
  • 季語:田植え
  • 意味:農民たちが田を一枚植えて立ち去っていった。あとに残るのは柳の木だけだなぁ。
  • 感想:のどかな田園風景。命の芽が植えられ、柳の木はその成長の一部始終を見届けるのでしょうね。

 

暫時は 滝に籠るや の初

  • 読み方:しばらくは たきにこもるや げのはじめ
  • 季語:夏
  • 意味:滝の裏側に入ってみると、ここで修行をする僧侶のような心持ちになる。
  • 感想:滝の裏側、と聞いただけで、その水しぶきや激しい音が想像できます。

 

暑き日を 海にいれたり 最上川

  • 読み方:あつきひを うみにいれたり もがみがわ
  • 季語:暑き日
  • 意味:最上川は、今日の暑かった日を海に入れてくれる。
  • 感想:とうとうと流れる最上川は、今日の暑い一日を吸い込み、海へと押しやってくれるような迫力をもった川ということが想像できます。その川の流れによって、日が沈めば、涼やかな風が吹いてくるのでしょう。



【夏の俳句30選】有名な高浜虚子5例

高浜虚子(たかはま きょし)の有名な俳句5選をご紹介します。

それぞれの句について

・読み方

・季語

・意味

・私の感想

をご紹介しています。

夏の蝶 日かげひなたと 飛びにけり

  • 読み方:なつのちょう ひかげひなたと とびにけり
  • 季語:夏の蝶
  • 意味:ある夏の日。蝶が日かげに日向にとんでいるよ。
  • 感想:ひらひらと蝶が優雅に飛んでいる様子がわかります。

 

白牡丹と いふといへども 紅ほのか

  • 読み方:はくぼたんと いうといえども こうほのか
  • 季語:白牡丹
  • 意味:白牡丹という花ですが、ほのかに紅色もみえますね。
  • 感想:白牡丹の可憐な様子がわかります。

 

夏山や よく雲かかり よく晴るる

  • 読み方:なつやまや よくくもかかり よくはるる
  • 季語:夏山
  • 意味:夏の山には、雲がかかっているが、空は晴れてもいるよ。
  • 感想:夏山のすがすがしい様子がわかります。

 

金亀虫 擲つ闇の 深さかな

  • 読み方:こがねむし なげうつやみの ふかさかな
  • 季語:金亀虫
  • 意味:こがねむしを庭に投げたら、その闇の深さを知ることとなった。
  • 感想:こがねむしの輝く体と闇の黒が対照的です。

 

炎天の 地上花あり 百日紅(さるすべり)

  • 読み方:えんてんの ちじょうはなあり さるすべり
  • 季語:百日紅
  • 意味:炎天下。夏真っ盛りの地上に百日紅が咲いているよ。
  • 感想:夏のギラギラした太陽のもとで百日紅が輝いている様子が想像できますね。



【夏の俳句30選】有名な与謝蕪村5例

与謝蕪村(よさ ぶそん)の有名な俳句5選をご紹介しています。

それぞれの句について

・読み方

・季語

・意味

・私の感想

をご紹介しています。

夏河を 越すうれしさよ 手に草履

  • 読み方:なつがわを こすうれしさよ てにぞうり
  • 季語:夏河
  • 意味:暑い夏の日に、裸足で川に入るのは楽しいな。手には草履をもって。
  • 感想:暑い夏の水辺。川に入らずにはいられませんね。

 

くれて よらで過ぎ行く 夜半の門

  • 読み方:あゆくれて よらですぎゆく よはのもん
  • 季語:鮎
  • 意味:夜に門をたたく音がしたので出てみると、友達が鮎を携えて立っていた。釣れた鮎を持ってきてくれたという。家の中に招き入れようとするが、「もう夜も遅いので」と寄らずに帰っていってしまった。
  • 感想:鮎を届けるためだけに訪問してくれた友達。美味しい鮎を新鮮なうちに届けたかったという友達の心遣いを感じますね。

 

ほととぎす 平安城を 筋違に

  • 読み方:ほととぎす へいあんじょうを すじかいに
  • 季語:ほととぎす
  • 意味:ほととぎすが平安京をななめに飛んでいったよ。
  • 感想:ホトトギスの鳴き声が聞こえてきそうですね。

 

五月雨や 大河を前に 家二軒

  • 読み方:さみだれや たいがをまえに いえにけん
  • 季語:五月雨
  • 意味:降り続く雨で川が増水し、大河のようになっている。その大河のすぐ前に家が二軒経っている。
  • 感想:梅雨から台風の時期に、川が氾濫することが増えていますね。我が家の目の前を濁流が流れていたら、さぞかし心細く恐怖を感じることでしょうね。

 

夕立や 草葉をつかむ むら雀

  • 読み方:ゆうだちや くさばをつかむ むらすずめ
  • 季語:夕立
  • 意味:夕立だ。雀の群れが草をつかんで隠れようとしている。
  • 感想:急な雨は、人間も雀もその歩みをとめて、雨が過ぎるのを待つのですね。



【夏の俳句30選】有名な小林一茶5例

小林一茶(こばやし いっさ)の有名な俳句5選をご紹介します。

それぞれの句について

・読み方

・季語

・意味

・私の感想

をご紹介しています。

やれ打つな が手をすり 足をする

  • 読み方:やれうつな はえがてをする あしをする
  • 季語:蝿
  • 意味:こら。叩くのではない。蝿が手をすりあわせて、足をすり合わせて、命乞いをしているものではないか。
  • 感想:蝿という疎まれがちな存在であるものに対しても、その命を大切にしようとする一茶の思いが伝わります。

 

大の字に 寝て涼しさよ 淋しさよ

  • 読み方:だいのじに ねてすずしさよ さびしさよ
  • 季語:涼し
  • 意味:大の字になって寝ると涼しいなぁ。でも同時に少し淋しくもあるものだなぁ。
  • 感想:誰の目も気にせずに、大の字になって寝るのは、心も体も解放された感じがしますね。その無防備な様子をみて誰も何も言ってくれないのか、という寂しさも感じます。

 

蟻の道 雲の峰より つづきけん

  • 読み方:ありのみち くものみねより つづきけん
  • 季語:雲の峰
  • 意味:蟻の行列は、雲の向こうから続いているのだろうか。
  • 感想:小さい蟻の行列が、一直線に長い列を作っている様子が想像できます。

 

やせ蛙 負けるな一茶 これにあり

  • 読み方:やせがえる まけるないっさ これにあり
  • 季語:やせ蛙(蛙は春の季語ですが、ヒキガエルは夏の季語。「やせ蛙」はヒキガエルと考えられています)
  • 意味:やせていて小さな蛙よ。負けるな!私は応援しているぞ!
  • 感想:やせていて今にも負けそうな蛙。でも一茶に応援してもらったら勝てそうな、一茶の気迫を感じる一句ですね。

 

涼風の 曲がりくねって きたりけり

  • 読み方:すずかぜの まがりくねって きたりけり
  • 季語:涼風
  • 意味:涼しい風が曲がりくねって届くよ
  • 感想:この歌は、裏長屋の我が家について読まれた句です。江戸の町の様子が垣間見えるようです。



【夏の俳句30選】有名な正岡子規5例

正岡子規(まさおか しき)の有名な俳句5選をご紹介します。

それぞれの句について

・読み方

・季語

・意味

・私の感想

をご紹介しています。

紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘

  • 読み方:あじさいや きのうのまこと きょうのうそ
  • 季語:紫陽花
  • 意味:紫陽花がキレイに咲いていますね。昨日は本当だったことが、今日はうそになってしまうようです。
  • 感想:紫陽花は咲きすすむにつれて、色を変化させます。人間の移り気なところをうまく表現していますね。

 

茗荷より かしこさうなり 茗荷の子

  • 読み方:みょうがより かしこそうなり みょうがのこ
  • 季語:茗荷の子
  • 意味:親の茗荷よりも、茗荷の子の方が賢そうにみえますね
  • 感想:動物でも植物でも人間でも、親と子ではその姿形は少なからず違うものです。茗荷に関していえば、子どもの方が賢そうに見える、ということなのですね。

 

梅雨晴れや ところどころに 蟻の道

  • 読み方:つゆばれや ところどころに ありのみち
  • 季語:梅雨晴れ
  • 意味:梅雨の時期、雨が降る日々の合間の晴れた日に、あちらこちらに蟻の列ができているよ。
  • 感想:梅雨の間のつかの間の晴れ間。たまった洗濯物を片づけたり、買い物をしたりの人間同様、蟻も晴れた日に、雨の間にできなかった仕事をするのですね。

 

ずんずんと を流すや 最上川

  • 読み方:ずんずんと なつをながすや もがみがわ
  • 季語:夏
  • 意味:暑く激しい季節の夏。その夏を勢いよく流すように流れている最上川。
  • 感想:最上川の勢いを感じる句です。「夏を流す」という表現が特徴的です。

 

夏草や ベースボールの 人遠し

  • 読み方:なつくさや ベースボールの ひととおし
  • 季語:夏草
  • 意味:夏草が生い茂っている向こうの方で、ベースボールをしている人が遠くに見えます
  • 感想:子規とベースボールをしている人との間にかなりの距離感を感じるとともに、夏草が生い茂っていることが高い壁のような印象を受けます。



【夏の俳句30選】有名俳句と季語のまとめ

夏の有名俳句と季語のまとめです。

  • 夏とは、現代の立夏(5月6日頃)~立秋(8月8日頃)の前日までの期間を指します
  • 夏の季語は、この期間をあらわす単語で、「夏」「サングラス」「梅雨」など多くの種類があります
  • 夏の有名な俳人の俳句30選をご紹介しています
  • 具体的には、松尾芭蕉10選、高浜虚子5選、与謝蕪村5選、小林一茶5選、正岡子規5選、です。

 

松尾芭蕉の代表作をこちらの記事にまとめました。

芭蕉について知りたい方をこちらをどうぞご覧ください。

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俳句は17文字の中に季節をギュッと閉じ込めているのが特徴ですね。
冬の花の季語の俳句をこちらの記事でご紹介しています。
合わせてお読みくださいね。
https://nihonbunka.net/huyunokigo-flower10-1639

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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